最近つくづく思うのは、日常生活・業務の中で「雑談」が減ってきていること。
雑談とは、とりとめもない内容を気楽に短い単語で交わすこと。
色々な職場を見ていますが、ストレスを抱える人が多い組織は雑談が少なく、逆に雑談が多い組織は、問題が少なく、団結力も高いものです。
典型的な例が家庭です。診察の場面で、お子さんの相談を受ける際、家庭内の「雑談」について必ず聞くのですが、雑談が少ない家庭ほど何か問題があるというふうに感じています。雑談が多い家庭の子供には、「何を言っても受け入れてもらえる」安心感があります。
人は雑談が減りだすと、お互いの心の距離が離れていきます。雑談量と関係強度は相関の関係にあります。特にビジネスの場面では役割、立場、利害関係があっての会話になりますから、相手が何を考えているか、相手がホントはどういう性格か、雑談によって鏡のように「ひととなり」が映し出されます。「いつも厳しいことをいうけど、本当はあったかい人なんだ」なんて思う瞬間は雑談の時の言葉や表情など、「ふとした瞬間」だったのではないでしょうか。雑談は、緊張や不安をほぐし、深刻さを軽くし、孤独にさせず、心を温め、立ち直らせます。
コミュニケーションツールが進化した反面、雑談という本能的な習慣が減ってしまいました。
かつては、お茶の間に家族みんなが集まり、食事をしたりテレビを見たり、あーでもないこーでもない、とりとめもない話をして過ごしていました。しかし、今はそれぞれが部屋を持ち、食事の時ぐらいしか顔を合わせないことは珍しくありません。一緒の部屋にいたとして、家族それぞれが携帯を眺め、ゲームをしたり、SMSで誰かとやりとりしています。必要最低限の会話しかしなくなった家族も多いように思います。
職場では(健康には良くないことですが)、喫煙場所でタバコを吸いながらの雑談で気持ちが和らいだ経験をお持ちの方もいることでしょう。出社した時、ちょっと手を休めた時、コピー機の前で、昼ご飯の時、どこかへ移動する時等、雑談で互いの心の距離が縮まったように感じたことがどなたにもあるはずです。そういうシーンが徐々に減っています。
雑談で関係性の地ならしができていると、不思議なことに第六感のように「ピン」とくることが増えます。「そういえばこのあいだのあれだけど、どうなった?」「最近調子はどうだ?」「先週のゴルフはどうだった?」、「仕事が手一杯みたいだけど手伝うことはあるか?」など。
雑談=とりとめもない内容の話を気楽にできる関係を作り合いましょう。減った量を増やすのはなかなか時間のかかることですから、もし最近雑談が減っているようでしたら、せめて雑談する「シーン」を今より減らさないように意識してください。
話したくない関係でも話さないと一層関係性がギクシャクしますから、5つのテーマで雑談を構成しましょう。これはどの言語でも当たり障りなく短く表現できます。
1:天気 日替わりで雑談できます。
2:食べ物 3回話題が作れます。
部下の方へは、
3:体調 社交辞令であっても「あなたを気にしています」というメッセージであり、後々ボディーブローのように効いてきます。
互いに雑談が増えてきたら
4:趣味 自分の趣味でなくても相手の雑談を「聴き」ましょう。
発展したら、時々5:家族や友達の話。
大事なことは「否定をしない」ことです。
「共感」と「聴き流し」。
日々の雑談の積み重ねは、互いの絆を強くし、信頼を深めます。変化を早く察知し、リスクを減らします。関係が良くなれば、何より人生がより楽しくなります。
一度きりの人生。縁あって異国で出会った人と、できるだけ心地よく、豊かな時間を過ごしたいものです。そのために「雑談」がきっと役立つことでしょう。
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