株式会社MD.ネット

スタッフコラム

無言の指導

無言の指導

入社して1,2年は、ミスばかりしてしまいした。致命的なミスではありませんが、小さなミスが頻発していたので、先輩からいつもこっぴどく叱られて、呆れられていました。ある時、怒っても効果がないので、1個ミスしたら、先輩にビールを1杯おごる、というゲーム方式にして、それでミスを減らそうと考えてくれたのですが、ぜんぜん効果がありませんでした。確認したつもりが間違ってしまうのです。自分でほとほと嫌になって色々と対策を考えましたが、それでもミスが減りませんでした。

今思えば、仕事に対しての考え方、もっと突き詰めれば生き方そのものが極めて甘く雑だったのだと反省しています。

それがある時を境にピタッとミスがなくなりました。

もう31年くらい前になります。銀行で新年用に発行している冊子があって、その中に間違いが見つかったのです。

間違っていたのは電話番号。私がデザイン会社に渡した原稿が間違っていました。

当時の部長は、「そんなところは見ないだろうから、そのまま配布すればいいよ」とおっしゃいました。

でも先輩は、「そういう問題ではない、お客様への誠実さの問題だ、今から直す」といって、修正の用意を指示しました。ちょうどクリスマスの日でした。ご家族の予定もあるのに、先輩たち4人と黙々とシールを印刷し、切って、貼っていきました。本当に本当に申し訳なく自分がなさけなく消えてしまいたい気持ちでした。

修正が完了した後、先輩たちは、おつかれさん、とだけ言って、いつも通り帰っていきました。

終わったら叱られる、と思ったのですが、何もおっしゃいませんでした。次の日も普段通りで何もそのことには触れませんでした。

自分のミスによって、人の時間を奪ってしまい、人にどれだけの迷惑・損害を与えてしまうかを、この日は嫌というほど重く深く心に刺さりました。

絶対に間違ってはいけないし、

間違わないことは当たり前である。

ミスをすると、申し訳ない、といいながら、口先だけで、本当に申し訳ないことをしたと思っていなかったのです。結局、自分のことしか考えていなかったのです。

それからは、自分がミスをすると、この人に迷惑がかかる、と迷惑をかけている状況が浮かび、「絶対にそんなことはできない・大変なことになる」と覚悟を決めて次元の違う真剣さで仕事に取り組むようになりました。徹底して確認をし、先へ先へと意識を向けるようにしました。ゼロとはいいませんが、ほぼなくなったと思います。退職する頃には、間違いによく気が付く人なんていうイメージを持たれていたのですから人間って変われば変わるものです。

ちょうど今頃の事だったので思い出して書いてみました。

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